-UEFAチャンピオンズリーグ-
「インテル45年ぶりの3度目の悲願へ。バイエルンとの決勝」 Inter-Bayern Mou meets Van Gaal UEFA Champions League Final
文:植芝敬治 写真:原悦生 Text: Keiji Ueshiba Photo:Etsuo Hara
インテルとバイエルン。
UEFAチャンピオンズリーグ決勝戦はこの2つのチームによって、5月22日マドリードのサンチャゴ・ベルナベウで争われる。イタリアとドイツのビッグクラブの対戦だが、昨シーズンのマンU-バルサのように名実ともにそろった華やかなファイナルとは言いがたい。昨年9月にシーズンが開幕した時点では、この2つのチームが決勝を戦うことを私は想像できなかった。インテルもバイエルンもグループリーグでは苦戦を強いられて、ノックアウト・ステージへの進出を決めたのは第6節(グループリーグ最終節)だった。土壇場でインテルはルビン・カザンをミラノで下し、バイエルンはトリノでユヴェントスに勝利しての「やっと」という感じが否めない戦い方だった。
決勝にイングランドのクラブがいない。昨シーズンまでベスト4の常連だったイングランド勢がセミファイナルを待たずに姿を消したことは大きな変化だった。ファーガソンのマンチェスター・ユナイテッドはC・ロナウド、テヴェスを放出しながらヴァレンシア以外を獲得しなかった。これは、多額の負債を抱えるマンUのチーム経営事情が高額なビッグネームの補強を許さなかったいう方が正しいだろう。リヴァプールはチームの売却を巡ってベニーテスとフロントが対立している。ベンゲルのアーセナルは依然として若手重視の哲学だ。ここぞという時にフェブレガスが故障し、バルセロナとの準々決勝第2戦に出場できなかったのが痛手だった。アンチェロッティのチェルシーはモウリーニョの戦術の前に完敗した。
ともあれ今年セミファイナルの4チームはイタリア、スペイン、ドイツ、フランスと4カ国に分散、一国集中を防ぎたいプラチニUEFA会長の望みがにわかに叶った感じだ。
バイエルンは1/8ファイナル、ホームのフィオレンティーナ戦では明らかなオフサイドだったのを、誤審に助けられた形で2-1の勝利を拾い、アウェイでは2-3で敗れたが(2試合合計4-4)ロッベンが決めた強烈な中距離シュートがアウェイゴール・ルールの歓喜につながった。強敵マンU戦でも、第2戦ではルーニーの足首故障が悪化、ロッベンがリベリーのコーナーキックをボレーで決め、2-3(2試合合計4-4)またしてもアウェイゴール・ルールでセミファイナルにコマを進めたのだった。準決勝ではリヨンに2連勝したものの、決勝はエース・ストライカーのリベリーが出場停止、ファンハールが目指す組織プレーというより個人技で勝ち残ってきただけに厳しい戦いが推測できる。またバイエルンのバックスのもろさも懸念される。バイエルンはロッベンの左足と、献身的で泥臭い動きながらも得点に絡むオリッチが頼みだろうが、インテルの集中力、サムエル、ルシオのセンターバック強さを考えれば、バイエルンに勝ち目はない。ファンハールとしてはバルセロナ監督時代にサブとして隣に座っていたモウリーニョには絶対負けたくはないだろうが。
インテルにとっては待ちに待った38年ぶりの決勝進出だ。インテルはレギュラーに一人のイタリア人選手もいない。それでも、インテリスタはクラブの名前がインテルナショナーレ(国際的)なので気にしないし何の問題もないとしている。インテルは優勝候補のチェルシー、バルセロナを撃破して、非常に士気が高まっている。モウリーニョはチーム内をまとめることに(一人を除いて)優れているが、イタリアでは少し前までは戦術面で「イマイチ」の評価が定着していた。チェルシーとの準々決勝第2戦ではホームでの2-1のアドバンテージを守るためにディフェンシブな戦術を採ると見られた。モウはミリート、パンデフ、エトーのアタッカー3人に、トップ下のスナイデルを加え、超攻撃的な布陣を敷いたと見せかけた。だが実際は、エトー、パンデフがサイドバックを務め、マルーダなどの上がりを止め、エトーがカウンターからゴールを決めての勝利だった。ここからモウの評価はうなぎ登りだ。
セミファイナル第2戦のバルセロナ戦、ティアゴ・モッタがレッドカードで一人少ない状態に陥りながらも、攻撃陣がディフェンスを嬉々として務めた。通常ならアタッカーは得点することだけを考え守備はしないものだが、これはモウの統率力の確かさを示す。戦力的には十分に優勝できる力が持ちながら精神、心理的な面でヨーロッパでは成功できず、ずっとインテリスタをイライラさせてきた。だが、今のインテルは堅固な守備をバックにカウンターを確実に決める、負けないサッカーをしている。私の予想は波に乗っているインテルが6-4で有利。インテルが1-0あるいは2-0で勝ち、1965年以来、45年ぶり通算3度目のチャンピオンズのタイトルを獲得するだろう。
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